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 翻訳者 樋口裕子さんに聞く『ザ・ホスピタル』の魅力

[2008年08月06日(水) /ライブ台湾]
華流ニュース  翻訳者 樋口裕子さんに聞く『ザ・ホスピタル』の魅力
 ドラマ『ザ・ホスピタル』
 

翻訳者 樋口裕子さんに聞く『ザ・ホスピタル』の魅力

非常に魅力的な人物が多く登場する小説ですが、樋口さんのお気に入りはどなたですか?
その理由は?

「あとがき」にも書きましたが、タン・グォタイの、外科部長として権勢を思うままに振るう一方で、人生の悲哀と孤独を背負った姿が強烈な印象でした。コーヒーが好き、という設定もよかったですね。

『ザ・ホスピタル』には徹底的な悪人、嫌な人物はいません。どの人も、あるときは「悪」の役回りではあっても、その時々の「悪」には理由があるのです。ホウ・ウェンヨン(侯文詠)さんは非常に鋭い人間観察眼をお持ちですが、人物を描く筆はじつに公平です。そして、一人ひとりを個性的に際立たせ、登場人物が自然に動き出して物語を紡いでいくように感じさせるところが、『ザ・ホスピタル』という小説の魅力なのです。

ホウ・ウェンヨンさんと奥様に実際会われたそうですが印象はいかがでした?

『親愛的老婆』*に描かれた夫妻そのままなので、とても微笑ましかったですね。美しい歯科医の奥様がきちんと家計も家事も管理してくれるので、安心して作家に専念できるとおっしゃっていました。お互いを信頼し合っている素晴らしいおふたりです。『親愛的老婆』1・2を合わせた本が皇冠文化出版から出ているので、お薦めします。

 御夫妻で美味しい昼食をご馳走してくださったあと、出版社近くのカフェ(日本人女性が経営するステキなところ)でホウ・ウェンヨンさんは夕方までずっと翻訳上の疑問解決にお付き合いくださいました。とても真摯で優しい方です。眼がとても澄んでいて誠実な人柄がにじみ出るような印象でした。ちょうどホウさんと私の共通の知人・映画評論家の張昌彦さんも同席してくださって編集者をまじえて4人、ホウさんの話しぶりは独特のユーモアたっぷりでした。コーヒーは、なぜか全員マンデリン。2月の台北のカフェテラス、少し寒くはありましたが、濃いめのマンデリンをお代わりしながら、作家との密度の濃い時間でした。

*日本未翻訳作品

ホウ・ウェンヨンさんはドラマについてどのような感想をお持ちでしたか?

ドラマなので、自ずと小説とは異なるものだとおっしゃっていましたが、ご自身がドラマ制作でも医事監修など大きな協力をしているので、毎回の放映をハラハラしながらも熱心に御覧になっていたようです。
 スー・イーホア役のジェリーはとても努力して熱演してくれたし、脇を固める脇を固めるチュウ・チンチョン役のレオン・ダイ、シュー・ターミン役のチャン・グォチューは安心して観ていられたとのことでした。

樋口さんが一番気に入ったシーンは?

多々ありますが、スー・イーホアがグァン・シンの部屋で一夜を過ごした朝、メモを残して去り、それをグァン・シンが朝陽の中で読む爽やかで温かなシーン。

翻訳されて一番苦労した思い出は?

なんといっても医学用語満載で、その手の中日辞書がほとんどないため手探り状態で翻訳を始めました。日本在住の台湾人のお医者さんに機器や薬品の訳語を解決していただきました。また、医療現場のリアルさを壊したくなかったので、教科書的な訳を避け、高校時代の親友の御主人(現役外科医)に現場ではどんなふうに話し、動いているかを教えてもらいました。
 また、人物を活かすために話し方、会話部分に性格が出るように工夫しました。映画字幕の仕事が多少なりとも役立ったようです。そして原作の鮮やかなシーンチェンジ、なめらかなストーリー展開をそのまま翻訳でも楽しめるよう、ひっかかりのない翻訳を目指しました。

ドラマと比べてどう思われましたか?

小説のほうが、より重みがあるように思えました。たぶん、ドラマは故意にそういう色合いを薄めているのでしょう。グァン・シンの姉など原作にはない人物も登場しています。

 翻訳していたときは、まだドラマは放映されておらず、私は自分なりのイメージで翻訳の人物を創り上げていたので、キャスティングされた俳優さんが全く違うイメージの人もいます。チュウ・チンチョン役のレオン・ダイはバッチリはまっていましたが。また、チュウ・チンチョンの妻・メイチェンは、小説でもドラマでも出色でした。

ホウ・ウェンヨンさんの作品が台湾で支持される理由はなんだと思いますか?

上質なユーモアと豊かな叙情性、そして人生の真実がその中に描かれているからでしょう。

☆樋口さんは通訳、翻訳、そして映画の字幕翻訳と活躍される多忙なお方。そんな中、質問に丁寧にお答えいただきスタッフ一同感謝しております。
『ザ・ホスピタル』、ドラマとの見比べも楽しんでみてくださいね。☆

●樋口裕子さんの作品●
〜エッセイ〜
『懐旧(レトロ)的中国を歩く―幻の胡同・夢の洋館』(日本放送出版協会)

〜翻訳本〜
『上海音楽学院のある女学生の純愛物語』原作:陳丹燕 翻訳:樋口裕子(講談社)
『藍色夏恋』原作:易智言 翻訳:樋口裕子(角川書店)

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