9月30日 東映太秦映画村内中村座にて「国際クロスメディアシンポジウム:歴史創作の魅力を探る〜アジアンエンターテインメントの展望」が開催されました。
当日は、武侠小説の大家である金庸氏が来日し出席される予定でしたが、ご高齢による病のために急遽欠席となりました。しかし、会場に集まった観客へのメッセージを通し、金庸氏の武侠に対する熱い思いは伝わったと思われます。
様々な分野にインスピレーションを与え続ける武侠小説の世界、当日の会場風景を少しでも味わって頂ければと、シンポジンムに参加した方からのレポートを掲載致します。
<レポート>
残暑とは一変して9月30日のこの日は霧雨を伴った涼しい天気だった。立命館大学映像学部開設記念シンポジウム「国際クロスメディアシンポジウム」が東映太秦映画村で開かれると聞いて駆けつけた。
14時から開始したシンポジウムでは、事前申し込みで集まった200名以上が会場を埋めた。テーマは『歴史創作の魅力を探る〜アジアンエンターテインメントの展望〜』である。企画には中国の武侠小説で不動の地位にある金庸氏が特別ゲストとして招待されていた。がしかし来日する直前になって氏の体調が悪化、急遽来日は中止になってしまった。このことを非常に残念に思った氏は直筆で書いたメッセージを来場した観客全員に配ってもらうように申し入れたという。メッセージには自身が病気を患っており、医者から来日を止められたこと、陳謝の気持ち、また適切な時期に訪れたいという思いが綴られていた。
実際のシンポジウムには金庸氏が用意されていた原稿を、中国文学研究の第一人者である孫立川氏が代読するという形で進められた。「武侠小説は世界の様々な言語に翻訳がされてきているが、ヨーロッパ人は興味をもたない。やはりアジア圏は文化が近いから人気がでるのだろう」こう自身の小説を分析した。アジア圏では、台湾、香港、中国からシンガポールと、政治背景、経済背景問わず、金庸氏の小説は受け入れられている。さらに近年では、金庸氏を目指す武侠小説の書き手が増えてきたこと、女性作家も登場したことが挙げられ、これまで以上に武侠というジャンルが一般に普及していくことで盛り上がった。
トークテーマのアジアンエンターテインメントの展望ということでは、武侠というジャンルが小説から映画化され、ゲームになり、アニメにもなるというように、様々な媒体で広く楽しまれていくだろうと語った。これからはゲームで武侠を知り小説に戻ってくるといった逆の入り口も開かれることだろう。おおいに盛り上がったシンポジウムであったが、是非次の機会には金庸氏にお目にかかれることを心から願っている。(a‐ko)